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歯科技工物

歯科技工物 (さし歯・つめ物) について

歯科技工物 (さし歯・つめ物) について記載します。

歯科技工物とは?

歯科技工物とは、虫歯の治療につめ物や被せ物、入れ歯や歯の矯正のための装置、顎関節症の治療時に用いるマウスガードなどのことを言います。国家資格を持つ歯科技工士が、患者様に合わせて適切な歯科技工物を製作しています。

被覆冠とは?

虫歯治療などで歯を削ったところに装着する技工物を被覆冠と言います。歯の全体に被せるものを全部被覆冠、一部を覆うものを一部被覆冠と言います。

ブリッジとは?ブリッジの構成は?

ブリッジ構造図

ブリッジとは、歯が無くなってしまったところに、歯に似た形の人工物を入れる治療です。橋のような構造をしており、隣の歯を削って装着します。

ブリッジには、歯が無くなったところに入れるポンティックと、削った隣の歯に被せる支台装置、ポンティックと支台装置をつなぐ連結部からなります。

ブリッジのポンティック基底面の形態とは?

ポンティックには複数の種類があります。その違いは、ポンティックと歯肉が接するところ(基底面)の形です。患者さんが失った歯の位置や、歯肉の状態、口の中の衛生状況などを考慮して適切な形態を選択します。

ブリッジのポンティック基底面の形態分類と各特徴

☆リッジラップ型
ポンティックの頬側もしくは唇側が歯肉に接する形態で、基底面と歯肉の接触部位はT字型をしています。舌側に向かうにしたがって歯肉に接触しなくなります。
長所: 審美性に優れます。
短所: 清掃が難しいです。

☆船底型
基底面が船底型もしくは楕円型をしています。
長所: 清掃が比較的容易です。
短所: 審美性に劣ります。

☆オベイド型
上の前歯など、特に審美性が必要な部位に使用します。
長所: 審美性、装着感に非常に優れます。
短所: 基底面の清掃がほぼできません。

☆偏側型
ポンティックの頬側もしくは唇側が歯肉に接する形態で、舌側に向かうにしたがって歯肉に接触しなくなります。
長所: 審美性に優れます。
短所: 清掃が難しいです。

☆離底型
基底面が歯肉から完全に離れた形態をしています。
長所: 歯肉に接触していないため、最も清掃が容易です。
短所: 食べ物が間に挟まりやすく、審美性、舌感、発音機能の点でも劣ります。

歯科技工物の材料

☆金パラ
金銀パラジウム合金の略で、歯科治療で頻繁に使用される保険適用の金属です。銀を主成分として、金とパラジウムが添加されています。

☆銀合金
銀の含有量が60%以上で、そのほかに金などが添加されています。神経を失った歯の根に土台を立てる支台築造(コア)という治療に使用します。

☆ゴールド
金を主成分とする合金で、金の含有量の違いにより軟らかい金合金と硬い金合金があります。加工しやすく、ほとんど錆びることもありません。主に詰め物や被せ物に使用されます。

☆セラミック
セラミックは陶材(ポーセレン)の一種です。自然な歯に近い色を再現でき、変色もしません。また、金属のようなアレルギー反応の心配なく使用することができます。

☆ハイブリッドレジン
コンポジットレジン(プラスチック)とセラミックの混合物です。一般的なレジンより丈夫なため長期の使用が期待でき、低コストで審美性の高い治療が可能です。

部分被覆冠

セラミックインレー

【セラミックインレー】
セラミックを使用して製作した詰め物です。ジルコニアや、スイスで開発されたe.maxと言うニケイ酸リチウムガラスセラミックスを使用したセラミックインレーが注目されています。

■製作方法
患者さんの歯型から歯の模型を作り、模型上でワックス(蝋)を使用して目的の形を製作します。出来上がったワックスは埋没材という耐火性の材料に埋め、その後高温で熱してワックスを焼却します。埋没材の中の空間に溶かした陶材を圧縮プレスして流し込むことで、ワックスと同じ形のセラミックインレーを製作します。また、模型上でセラミックを直接盛り上げ、焼成する方法もあります。

■長所
自然な歯に近い色を再現できるため、他の詰め物と比較して審美性に優れます。

■短所
保険が適用されないため、他の治療と比較して高額です。また、硬いものを噛むなどして強い力がかかると割れてしまうことがあります。

【ハイブリッドレジンインレー】
セラミックインレーと同様に自然な歯に近い色を再現できますが、時間の経過とともに変色します。

■製作方法
患者さんの歯型から歯の模型を作り、模型上でハイブリッドレジンを盛り上げ、形を整えながら目的の形を製作します。

■長所
自然な歯に近い色を再現でき、審美性に優れます。また、セラミックインレーと比較して安価です。

■短所
レジンが含まれているため、時間の経過とともに変色・摩耗します。

【メタルインレー】
金属で製作された詰め物です。金銀パラジウム合金を使用して製作したメタルインレーが一般的です。長所・短所は使用する金属により異なります。

■製作方法
患者さんの歯型から歯の模型を作り、模型上でワックス(蝋)を使用して目的の形を製作します。出来上がったワックスは埋没材という耐火性の材料に埋め、その後高温で熱してワックスを焼却します。埋没材の中の空間に溶かした金属を流し込むことで、ワックスと同じ形のメタルインレーを製作します。

■長所
金を使用したゴールドインレーは適合性に優れ、金属アレルギーを起こす心配も少ないです。また、金パラを使用したインレーは保険適応のため、安価に治療することができます。

■短所
ゴールドインレーは価格が高く、また金の特徴的な色合いにより審美性には劣ります。金銀パラジウム合金を使用したインレーは、二次う蝕(詰め物の下にできる虫歯)や金属アレルギーのリスクがあります。

全部被覆冠

オールセラミッククラウン

【オールセラミッククラウン (ジルコニアコア+陶材)】
ジルコニア製のコーピングを内側に使用することで、従来のオールセラミックスクラウンよりも強度を高めることができます。

■製作方法
CAD/CAMと呼ばれる装置を使用し、まず被せ物の内側をジルコニアブロックやディスクから削り出します(ジルコニア製コーピング)。次に、コーピング上に陶材を盛り上げ、焼成することで製作します。

■長所
自然な歯に近い色を再現できるため、他の被せ物と比較して審美性に優れます。また、内部にジルコニアを使用しており、割れにくくしています。

■短所
保険適用外であり、治療が高額になります。また、ジルコニアによる補強により割れにくいものの、場合によっては欠けてしまうこともあります。

【ジルコニアクラウン(単体)】
ジルコニアのみを使用して製作する被せ物です。ジルコニア製コーピングを使用したオールセラミックスクラウンよりも優れた強度が期待できます。

■製作方法
CAD/CAMと呼ばれる装置を使用し、ジルコニアブロックやディスクから被せ物の形を削り出します。次に、色付け・色の調整を行い、最後に焼成することで製作します。

■長所
自然な歯に近い色を再現できるため、他の被せ物と比較して審美性に優れます。また、強度に関しても他の被せ物より優れています。金属を一切使用しないため、金属アレルギーの心配もありません。

■短所
保険適用外であり、治療が高額になります。

【CAD/CAM冠 / ハイブリッドレジンクラウン / ピーク冠】
機械によるハイブリッドレジンの削り出しにより製作します。比較的自然な歯に近い色を再現できますが、時間の経過とともに変色します。

■製作方法
CAD/CAMと呼ばれる装置を使用し、ハイブリッドレジンブロックから被せ物の形を削り出します。ピーク冠はポリエーテルエーテルケトンからなるレジンブロックを切り出したものです。

■長所
比較的審美性に優れ、金属アレルギーの心配がありません。前から1〜5番目の歯には保険適応で治療することができます(条件付きで6番目の歯も対応可能)。ピーク冠はどの臼歯部にも保険適用です。

■短所
レジンが含まれているため、時間の経過とともに変色・摩耗します。セラミックほどの色調は再現できず、透明感はありません。ピーク冠の色はアイボリーのみです。

【陶材焼付金属冠】
メタルボンド冠とも呼ばれます。金属の被せ物の見える部分にのみセラミックを焼き付けることで、審美性を高めています。

■製作方法
メタルクラウンを製作し、口の外から見える部分にセラミックを焼き付けます。

■長所
オールセラミックスクラウンのように割れたり欠けたりする心配がありません。また、歯の部位を選ばず使用することができます。

■短所
保険適用外であり、治療が高額になります。オールセラミックスクラウンほどの透明感はありません。また、歯肉との境に金属色が見えることがあります。

【メタルクラウン(金パラ)】
金銀パラジウムを使用して製作した被せ物です。

■製作方法
患者さんの歯型から歯の模型を作り、模型上でワックス(蝋)を使用して目的の形を製作します。出来上がったワックスは埋没材という耐火性の材料に埋め、その後高温で熱してワックスを焼却します。埋没材の中の空間に溶かした金銀パラジウム合金を流し込むことで、ワックスと同じ形のメタルクラウンを製作します。

■長所
保険適応のため、安価に治療することができます。

■短所
金属色であり、審美性は劣ります。

メタルクラウン(ゴールド)

【メタルクラウン(ゴールド)】
金合金を使用して製作した被せ物です。

■製作方法
金銀パラジウム合金を使用したメタルクラウンと同様に製作します。

■長所
適合性に優れ、金属アレルギーを起こす心配も少ないです。

■短所
特徴的な金属色をしており、審美性は劣ります。保険適用外であり、治療が比較的高額になります。

ブリッジ

ブリッジ

【オールセラミックブリッジ】
セラミックを使用した被せ物や詰め物と同様に、全ての材料にセラミックを使用して製作したブリッジです。

■製作方法
用途に応じて複数の製作方法があります。患者さんの歯型から歯の模型を作り、模型上でワックス(蝋)を使用して目的の形を製作します。出来上がったワックスは埋没材という耐火性の材料に埋め、その後高温で熱してワックスを焼却します。埋没材の中の空間に溶かした陶材を圧縮プレスして流し込むことで、ワックスと同じ形のセラミックブリッジを製作します。

■長所
自然な歯に近い色を再現できるため、他のブリッジと比較して審美性に優れます。金属を一切使用しないため、金属アレルギーの心配もありません。

■短所
保険適用外であり、治療が高額になります。

【陶材焼付金属冠ブリッジ】
金属のブリッジの見える部分にのみセラミックを焼き付けることで、審美性を高めています。

■製作方法
金属冠ブリッジの製作し、口の外から見える部分にセラミックを焼き付けます。

■長所
自然な歯に近い色を再現でき、ほとんど変色しないため審美性に優れています。

■短所
保険適用外であり、治療が高額になります。

【金属冠ブリッジ】
金属で製作されたブリッジです。
金銀パラジウム合金を使用して製作した金属冠ブリッジが保険適応で一般的です。長所・短所は使用する金属により異なります。

■製作方法
患者さんの歯型から歯の模型を作り、模型上でワックス(蝋)を使用して目的の形を製作します。
出来上がったワックスは埋没材という耐火性の材料に埋め、その後高温で熱してワックスを焼却します。埋没材の中の空間に溶かした金属を流し込むことで、ワックスと同じ形のメタルインレーを製作します。

■長所
金銀パラジウム合金の場合は保険適応のため、安価に治療することができます。

■短所
無くなった歯の両側の歯を削り土台として使用するため、健康な歯をたくさん削る必要があります。金属色であり、審美性は劣ります。

【接着ブリッジ】
通常のブリッジは、無くなった歯の両側の歯を削り土台として使用します。そのため、健康な歯をたくさん削る必要があります。
接着ブリッジは、両側の歯を少しだけ削り、接着剤(接着性のレジンセメント)で接着することで、機能を回復することができます。

■製作方法
使用する材料により製作方法は異なります。
金属に陶材を焼き付けて製作する場合、患者さんの歯の削り方が異なる以外は、基本的には陶材焼付金属冠ブリッジの製作方法と同様です。

■長所
健康な歯を削る量が少なく、二次う蝕の心配も少ないです。

■短所
残っている歯や無くなった歯の位置によっては適応できない場合があります。
保険適応の場合おありますが、多くは保険適用外であり、治療が高額になります。

コア(土台)

コア(土台)

【コア(土台)】
神経を失った歯の根に土台を立てることを支台築造と言い、その土台のことをコアと呼びます。歯を削った量が多く、被せ物を被せることが難しい場合に、コアを入れることで被せ物による治療ができるようになります。

【ファイバーコア】
直径約10~15マイクロメートルのガラス繊維を束ねてレジンで固めたものです。強度、柔軟性があり自然な歯に近い色のコアを製作できます。

■製作方法
患者さんの口の中で製作する直接法と、患者さんの歯の模型上で製作する間接法の二つの制作方法があります。神経を失った歯の根に棒状のファイバーポストを挿入し、その周りにレジンを盛り上げコアの形を製作します。

■長所
ファイバーコアは、歯と似たような硬さであるため、強い力がファイバーコアにかかっても、歯を傷めることが少ないです。また金属を使用しないため、上に被せ物を被せた場合に透けて見えることがありません。

■短所
保険適応でファイバーコアを使用することもできますが、残存歯質が少ないなど適応条件が限られることもあります。

【メタルコア】
主に銀合金を使用して製作するコアです。

■製作方法
患者さんの歯型から歯の模型を作り、模型上でワックス(蝋)を使用して目的の形を製作します。
出来上がったワックスは埋没材という耐火性の材料に埋め、その後高温で熱してワックスを焼却します。埋没材の中の空間に溶かした銀合金を流し込むことで、ワックスと同じ形のメタルコアを製作します。

■長所
銀合金で製作するメタルコアは保険適応です。

■短所
歯と比べ金属は硬い材料であるため、硬いものを噛むなどして強い力がかかるとコアの周囲の歯の根が割れてしまうことがあります。また、上に被せ物を被せると、金属色が透けて見えてしまうこともあります。

参考文献

・小児歯科学. 医歯薬出版, 2017.
・黒田潤一, 歯科補綴学. 医歯薬出版, 2018.
・石井一久, CAD/CAM冠の臨床応用. 歯界展望, 2019; 127(2): 45-50.

歯科技工物 (入れ歯) について

歯科技工物 (入れ歯) について解説します。

入れ歯とは?

入れ歯は、歯を失った方が口の機能を回復するために使用する歯科技工物です。見た目を整えることや、口の機能低下を防ぐ目的でも使用されます。

入れ歯とは?
入れ歯とは?

入れ歯の構成

入れ歯は、義歯床(歯ぐきに接する部分)と人工歯で構成されます。部分入れ歯では支台装置や大連結子も必要です。

義歯床

歯ぐきを覆う部分で、レジンや金属で製作されます。

人工歯

元の歯の位置に置かれる人工の歯で、セラミック・レジン・金属などを使用します。

維持装置(支台装置)

部分入れ歯を安定させるパーツで、支台歯と連結されます。

クラスプ

支台歯に接して部分入れ歯を固定する装置。鋳造鉤(キャストクラスプ)や線鉤(ワイヤークラスプ)があります。

大連結子

左右の部分入れ歯をつなぐ金属部品です。

小連結子

部分入れ歯の義歯床や大連結子からつながる金属で、支台歯を間接的に支えます。

入れ歯の材料

入れ歯は主にレジンと金属で作られます。

人工歯

セラミックやレジンが基本ですが、奥歯では金属が用いられることもあります。

義歯床

レジンや各種樹脂、金属(コバルトクロム合金、金、チタンなど)が使用されます。

維持装置・連結子

支台装置や連結子には、コバルトクロム合金や金銀パラジウム合金が用いられます。

入れ歯の製作方法

入れ歯の治療は診療室と技工室で行われます。

『診療室』

1. 診察・検査・診断

口腔内の状態を確認し、治療計画を立てます。

2. 前処置

口内環境を整え、入れ歯の装着準備を行います。

『技工室』

1. 研究用模型の製作

石膏模型を作り、口腔内の特徴を確認します。

2. 個人トレーの製作

精密印象用に患者ごとにトレーを作ります。

『診療室』

4. 精密印象の採得

個人トレーで詳細な型取りを行います。

『技工室』

3. 作業用模型の製作

精密印象から作業用模型を作り、入れ歯製作の基礎とします。

4. 咬合床の製作

歯科医師が噛み合わせを決めるための装置を作ります。

『診療室』

4. 咬合採得

上下顎の位置関係を記録します。

『技工室』

5. 咬合器装着

作業用模型を咬合器に装着し、顎の動きを再現します。

6. 人工歯排列・歯肉形成

人工歯を並べ、歯ぐきの形を再現します。

『診療室』

6. ろう義歯試適

形や大きさを口内で確認し修正します。

『技工室』

6. 埋没・重合

ワックスをレジンに置き換えて入れ歯を完成させます。

7. 研磨

表面を整え、口内で快適に使えるようにします。

『診療室』

7. 装着・調整

完成した入れ歯を装着し、噛み合わせや形を微調整します。

入れ歯の種類

入れ歯は総入れ歯(全部床義歯)と部分入れ歯(部分床義歯)に分けられ、さらに各種があります。

レジン床の入れ歯

レジン床の入れ歯
レジン床の入れ歯

義歯床が全てレジンでできている最も基本的な入れ歯です。

金属床の入れ歯

金属床の入れ歯
金属床の入れ歯

義歯床に金属を用いた入れ歯で、装着感が良いですが高価です。

コーヌステレスコープの入れ歯

内冠と外冠で安定させる義歯で、異物感や発音障害が少ないです。

オーバーデンチャーの入れ歯

歯やインプラントを支えにして装着する総入れ歯に似た義歯です。

ノンメタルクラスプデンチャー

金属を使わない部分入れ歯で、目立ちにくく製作されます。

スマイルデンチャー

薄く強い樹脂で作られ、違和感の少ない部分入れ歯です。

シリコーン(コンフォート)デンチャー

義歯床と歯ぐきの接触部分に弾力あるシリコーンを使用しています。

入れ歯の裏打ち替え(リライン)

義歯床の裏面を新しい材料に置き換え、適合を改善する処置です。直接法と間接法があり、硬質材・軟質材があります。

リラインの種類

硬質リライン材

アクリルレジン製で、歯槽骨や歯ぐきに問題がない場合に使用します。

軟質リライン材

シリコーン系材料を使用し、歯槽骨が痩せた場合や痛みがある患者向けです。

入れ歯の修理

使用中の入れ歯は、人工歯や義歯床、維持装置などの破損で修理が必要になることがあります。レジンなどで修理されます。

修理の部位別方法

人工歯

折れたり欠けた場合は新しい人工歯に取り替えます。

義歯床

割れた箇所を正確に合わせ、レジンで修理します。

維持装置・連結子

折れたクラスプや連結子は新しいものと交換します。

参考文献

・無歯顎補綴治療学(医歯薬出版株式会社)
・最新歯科技工士教本有床義歯技工学(医歯薬出版株式会社)
・谷田部 優. ノンメタルクラスプデンチャーの現状 ─部分床義歯の選択肢として考慮すべきこと─ 日本補綴歯科学会誌 11 : 32-37, 2019
日本歯科技工学会HP

歯科技工物(マウスガード) について

歯科技工物 (マウスガード) について記載します。

顎関節用スプリントとは

歯科技工物

顎関節用スプリントとは、顎関節症の治療に使用されるマウスピース型の取り外し可能な装置です。顎関節症は、あごの関節に痛みや音が出たり、口が開けにくくなったりする病気です。顎関節用スプリントには、顎を安定させて関節にかかる力を軽減させる働きがあります。これにより、顎関節症の痛みやその他の症状を緩和することが期待できます。スプリントには種類があり、スタビライゼーションスプリント、リポジショニングスプリント、リラクセーションスプリント、ピボットスプリントと呼ばれます。これらは顎関節症の症状によって使い分けます。なかでもスタビライゼーションスプリントは、最も代表的なスプリントであり、顎関節症にオールマイティに使用できると考えられています。

歯ぎしり用マウスガードとは?

歯科技工物

歯ぎしりは、無意識に上下の歯を強く噛み締めたり、擦り合わせたりする行為のことです。歯ぎしりによって、歯がすり減ったり損傷したりするだけでなく、頭痛や顎関節症などの症状を引き起こす可能性があります。歯ぎしり用マウスガードも顎関節用スプリントと同様に、スタビライゼーションスプリントが使用されています。

【スタビライゼーションスプリントの一般的な作り方】

1.歯科医院で上下の口の中の型取りをして、歯並びを再現した石膏模型を作ります。
2.上の歯の歯型にスプリントを設計します。スプリントが口の動きの邪魔にならないように、模型上に設計線を書きます。
3.樹脂シートを加熱し、柔らかくしてから成形器で加圧します。模型にシートを圧接することで、歯にぴったり合う形にします。
4.設計線に沿ってカットし、形を整えます。
5.シートの上に常温重合レジンを盛り上げ、下の歯の模型と噛み合わせます。

形を整え、噛み合わせを調整して完成させます。スプリント療法は、患者さんによって効果が異なります。適切なスプリントの選択と装着は、歯科医と相談して決定することが重要です。

スポーツマウスガードとは?

歯科技工物

スポーツマウスガードは、運動中の歯や口の怪我を防ぐために使用される保護デバイスです。主に接触スポーツや格闘技など、顔への衝撃が予想されるスポーツで使用されます。マウスガードは、歯、歯茎、唇、頬、舌などの部位を保護し、衝撃による怪我や歯の損傷を軽減する効果があります。上の歯に装着するものがほとんどですが、競技に合わせて異なる厚みのものや、上下一体型のマウスガードもあります。

【市販品と歯科医院で作製するカスタムメイドの違い】

市販品は低価格で手軽に入手できますが、個々の歯列に合わせることが難しく、フィット感が十分でないことがあります。カスタムメイドは歯科医師・歯科技工士が個々の歯列に合わせて作製し、最適なフィット感と保護性能を発揮します。健康保険適用外で歯科医院に3回程度の受診が必要です。

『作り方』

1.上下の口の中の型取りをして、石膏模型を作ります。
2.上の歯の歯型にマウスガードを設計します。模型上に設計線を書きます。
3.シートを加熱し、成形器で加圧。歯にぴったり合う形にします。
4.設計線に沿ってカットし、形を整えます。
5.噛み合わせを確認し、ツルツルに磨いて完成させます。

選び方は競技レベルや予算に応じて適切なものを選び、定期的に交換・メンテナンスを行うことが重要です。

ホワイトニング用カスタムトレーとは?

歯科技工物

ホワイトニングには、オフィスホワイトニング、ホームホワイトニング、デュアルホワイトニングがあります。カスタムトレーは患者さんの歯型に合わせて作製し、ホワイトニングジェルを内部に注入して歯に装着します。

参考文献

・顎関節症・歯ぎしりに対する口腔内装置(スプリント)の指針 公益社団法人日本補綴歯科学会
・歯科医院でつくるスポーツマウスガードガイドブック 一般社団法人広島県歯科医師会
・歯のホワイトニング処置の患者への説明と同意に関する指針 一般社団法人日本歯科審美学会