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入れ歯

入れ歯(義歯)について

歯がなければ食事もおいしくないですよね。

入れ歯はその助けになりますが、完全に機能を補うことは困難です。

それでも、よりよい方向へ入れ歯を改善する方法にはいろいろとあると思います。

訪問歯科に伺うと、介護施設のスタッフのかたやご家族のかたからよく聞かれることがあるので、入れ歯安定剤 (入れ歯安定材)についても少し詳しく記載しています。

入れ歯安定剤使用の参考にしてみてください。

長年、入れ歯でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

一般的な入れ歯(義歯)

保険の入れ歯: 部分入れ歯の設計には制約があります。総入れ歯、部分入れ歯の主な材料は2種類の中から選べます。

自費の入れ歯: 部分入れ歯の設計は自由に決められます。総入れ歯には金属床義歯があります。総入れ歯の歯の材料の種類も自由に選択できます。

ノンクラスプデンチャー(見た目のよい入れ歯)

保険の入れ歯: ノンクラスプデンチャー(見た目のよい入れ歯)は保険治療での提供はありません。

自費の入れ歯: 入れ歯の設計は自由に決められますが、口の中の状態によって一部制約があります。入れ歯の支えとなる歯がとても重要です。写真のように針金のような金属部分が少ない入れ歯です。

保険の入れ歯

一般的な入れ歯です。設計の制約があります。

特徴 平均的な入れ歯です。針金の部分が金属です。
長所 ルールに則った設計、作成方法、使用材料であれば保険適応です。
短所 設計に制約があります。
料金 1割から3割負担

自費の入れ歯/料金表

ノンメタルクラスプデンチャー(見た目のよい入れ歯、審美的入れ歯)

特徴 針金の部分が金属色ではありません。
長所 保険の入れ歯より見た目(審美性)が優れています。
短所 修理が困難なことがあります。
料金 (片顎)176,000~550,000円(税込)

入れ歯(義歯)の製作手順

保険の入れ歯と自費の入れ歯で製作手順にあまり差はありません。

1.問診

入れ歯を製作する前に少しお話しをさせていただきます。初めて入れる入れ歯なら「入れ歯とは」どんなものか、すでに入れ歯をお持ちの患者様には、これまでの入れ歯のお悩みなどを聞かせていただきます。改善すべき点の参考になります。

2.検査・診断

最初のステップは診断です。検査・診査・診断を行い、必要に応じて虫歯や歯周病治療を行います。歯を抜いた部位は、骨や歯茎の回復を待つ期間が必要です。

3.型取り(印象採得)―概形印象

精密な型取りの前に簡単な型取りをして診査用模型を製作します。

4.診査・設計

部分入れ歯では支えとなる歯に作るレストシートが大事です。ガイドプレーンや個人トレーの製作もこの段階で行います。

5.レストシートの準備(部分入れ歯のみ)

決めた位置にレストシートを形成します。入れ歯製作のため歯を一部削ることがあります。

6.型取り(印象採得)―精密印象

個人トレーとシリコン材料で精密に型取りします。技工士に正確な情報を伝えるためです。

7.噛み合わせ(咬合採得)

入れ歯にとって重要なステップです。顎の動きを記録し咬合器に再現することもあります。

8.試適

仮の入れ歯(ろう義歯)を合わせて確認し、問題なければ最終義歯へ進みます。

9.入れ歯の完成と微調整

完成後もしばらく微調整が続きます。慣れるまで時間がかかる場合もあります。入れ歯の取り扱いや洗浄方法も説明します。

製作のまとめ

以下に製作の流れをまとめています。



部分入れ歯(義歯)のパーツ(設計)について

部分入れ歯は、維持装置、連結子、人工歯、義歯床などから構成されています。

○義歯床:入れ歯の骨格部分です。

○維持装置:針金の位置・数・形状・素材がさまざまです。特にレストは噛む力を支える重要なパーツです。歯の噛む面の中心に位置していると力を垂直に伝えられます。

○連結子:維持装置と義歯床をつなぐ部分です。

○人工歯:噛み合わせを考慮して並べる歯の部分です。

入れ歯(義歯)の洗浄について

入れ歯にはカビ(カンジダ菌)が繁殖します。毎日の洗浄は誤嚥性肺炎などの予防にもつながります。

入れ歯洗浄剤

成分によって過酸化物系、次亜塩素酸系、酵素系の3種類に分類されます。

代表的な入れ歯の洗浄剤

代表的な洗浄剤は(Haleon)です。



入れ歯の洗浄手順

専用ブラシで洗い、洗浄液に一晩浸けます。朝は水でよくすすぎましょう。硬いブラシや熱湯は避けてください。

入れ歯(義歯)安定剤について

粘着剤として一時的に使用されることがあります。クッションタイプ、クリームタイプ、粉末タイプなどがあり、それぞれ特徴があります。

クッションタイプ

クッションタイプを巧みに分厚く入れ歯の裏面に盛り、長い間使用すると、顎や歯茎に決していいとはいえません。しばらくの間の、いわゆる斬間的な義歯安定剤の使用はいいのですが、部分入れ歯への入れ歯安定剤の使用も、総入れ歯と同じように、やはりしばらくの間なら大丈夫かもしれません。お出かけの時にしっかりとくっつけておきたい場合には入れ歯安定剤は有効だと思います。
長期使用にはむかないため、あまり合っていない入れ歯の時には、新しく作ったほうがいいと思います。物理的、身体的に歯科医院にいけない場合は、訪問歯科を利用することもできます。型取りや噛み合わせをとったりすることはご自宅で可能です。

クリームタイプ

クリームタイプは、顎の位置などに大きな変化を与えることがないため、入れ歯が合わないけど、どうしても歯科医院に行くことができない、そんな時は、義歯安定剤の中では、クリームタイプを使用するのがよいと言われています。もちろん、制約がなくなれば、早めに歯科医院を受診し、入れ歯を調整してもらった方がよいと思います。
クリームタイプは比較的取り除きやすいと思いますが、クッションタイプと同様に、義歯安定剤使用後は、しっかりと取り除いて、義歯洗浄剤をつかって毎日、入れ歯をきれいにしましょう。入れ歯などの専門医が中心会員の日本補綴歯科学会もクリームタイプについてはいわゆる斬間的な使用は認めています。

シールタイプ

シールタイプはあまり知られてないのではないでしょうか。クリームタイプと比較すると量的な調整が難しいですが、クッションタイプほど顎の位置関係に影響を与えません。
入れ歯安定剤全般に言えることですが、あくまで、一時的な使用でとどめておいた方が良いと言われています。

粉末タイプ

粉末タイプには、pHが低い製品もあり、総入れ歯の歯がない方が使用するのはいいのかもしれませんが、歯が残っていて、部分入れ歯を使用しているかたが使用する際には、注意が必要です。どの種類の入れ歯安定剤も一時的な使用には非常に便利です。ただ、長期に使用する場合には、かかりつけの歯科医院に相談しましょう。

入れ歯安定剤は困っているかたにはとても役に立ちますが、個人的な意見かもしれませんが、義歯安定剤を使用してなんとか使えるようにするよりも、あわない、調子が悪い入れ歯は作り直したり修理したりする方がいい場合が多いと思われます。かかりつけ医をもって入れ歯のメンテナンスをしてもらいましょう。

代表的な入れ歯の安定剤

代表的な入れ歯安定剤(クリームタイプ)(Haleon)です。



入れ歯のための歯科技工について

こちらのページに詳しく記載しています。